3人が本棚に入れています
本棚に追加
3人は抱き合って喜びました。
達也は涙で言葉を詰まらせながら言いました。
「沙織が無事で良かった。本当に良かった。」
涙があとからあとから、あふれ出てきました。
「お兄ちゃん泣かないで。」
沙織は達也の頭を優しくなでました。
「これじゃ立場が逆だな。」
「ホントだよ。」
困りながらも達也は笑っていました。
沙織と達也と一緒に虫眼鏡で覗いて見ると達也の周りには背中が人の顔をした虫が集まっていました。
「わあ、なんだ。この虫!」
「健ちゃん、これ何の虫?」
「エンエンカメムシとニコニコカメムシだよ。2匹がそろっているのは珍しいな。」
「あっ!そろそろ帰らないとパパとママが心配するよ。」
二人はうなずきました。
達也と沙織と別れると急いで家に向かいました。
家に着く頃にはお月様が綺麗にでていました。
「ただいま。」
「あら、泥だらけね。お風呂入りなさい。
もうすぐ音のない演奏会が始まるわよ。」
そうしてお風呂から上がると演奏会に向かいました。
しーん しーん しーん
「懐かしい。鳴き声だわ。」
「あぁそうだな、お父さんが子供の頃を思い出すよ。」
しんしん鈴虫の演奏会を聴きいっていると、
ウキウキバッタにトボトボトンボ、フレフレてんとう虫とたくさんの虫たちが集まっていました。
健太郎は心地良い音にまぶたが重くなり目を閉じました。
身体にふわりと布の感触が感じるころには夢の中でした。
最初のコメントを投稿しよう!