プロローグ ~恋の始まり~

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―――先生との出会いは、三年前の冬だった。 高校三年生だった私は、当時付き合っていた同級生の彼に「琴音といてもつまらない」と、無情な言葉を叩きつけられ一方的に振られた。 初めて「彼氏」と呼べる相手に捨てられた私。 「つまらない」と言われた理由は自分でも分かっていた。 それは、私が奥手過ぎたから。 唇が触れる程度の、キスどまりの関係。 今どき流行らない「やらせない女」では、盛りのついた雄犬が満足など出来るはずも無く。結果、お股の緩い女へ目移りされたと言う滑稽な話。 三年経った今となってはバカバカしい話だが、当時の私はそんな余裕をブチかまして笑ってなどいられなかった。 失恋の痛手と大学受験を控えていた私は、その重なったストレスにより胃潰瘍を発症した。 ただの神経性胃炎だと思い込み、市販の胃腸薬を飲んだり飲まなかったりと胃痛を甘く見ていた私は…… ある日、 瀕死状態に陥るほどの、大量の吐血をした。
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