恋の病は・・・Second Season~冬~

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何なのあなた。そんなに体を密着させて、いやらしい! その手を放して! 私の先生に触らないでよっ! 感じたことの無い毒々しい感情が塊となって、体内で爆発しそうになる。 「琴音!」 背後から恭子の声が聞こえた。 「良かった、まだここにいた。……あっ…」 私に駆け寄ってきた親友は、この状況に視線を巡らせ言葉を詰まらせた。 「君は……もしかして」 先生はさり気無く佐伯さんから体を離し、恭子の顔をまじまじと見る。 「はじめまして。岩崎です」 慌てて会釈をする恭子。 「やはりそうか。君があの時……」 「お友達が来たみたいだから、私達も二次会に行くわね。じゃ。稲森さんもあまり飲み過ぎちゃ駄目よ」 先生の言葉を打ち消すように届いた、佐伯さんの声。 彼女は離れた先生を追うように肘辺りのジャケットを掴み、悩まし気なラインを描く体を寄せると、グロスルージュが艶やかに光る唇を引きにっこりと笑った。 彼に触れる彼女を睨みつける私。 そんな私を見つめる、先生の視線。 きっと、やきもちを焼いてるのはバレバレだ。 彼女は職場のスタッフ。主任さんだっている。 こんな態度をとったら駄目だって、先生に迷惑を掛けるって、そんな事は分かってる。 だけどこんなの、笑って黙って見ていられない。 身体中の血液が沸き上がって苦しくてたまらない。 「……琴音、私達はもう帰ろ」 黙ったまま動かないでいる私を心配し、恭子が肩に手を乗せる。 先生は、私を守る様にして寄り添う恭子の目をジッと見つめると、 「…それじゃあ、気をつけて帰って下さいね。おやすみなさい」 恭子と私を交互に見て、静かな声でそう言った。
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