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大輪の花を咲かせては消えて、夜空を美しく彩る花火。
火の粉はまるで粉雪の様に海面に降り注ぎ、光を包み込んだ水面は優しく風に揺れている。
「……先生?」
「ん?何だ?」
「今夜ね、帰り遅くなっても大丈夫にして来たから…」
花火を見上げる彼にぴたりと寄り添って、はにかんだ笑みを浮かべる。
「……ったく。またおまえはっ。…可愛すぎるだろ。帰ったらお仕置きだ!」
彼は不機嫌そうにそう言って、腰に手を回して私を引き寄せると、愛でる様に額に優しく唇を押し当てた。
――――――
「…あぁっ…センセ……」
切なげに開いた唇の隙間から、熱い吐息が漏れる。
「琴音……好きだよ」
耳元に落ちる甘美な囁き。
彼の手のひらが上から下へ……
私の火照った肌を優しく伝い、濡れそぼった熱を押し開くようにゆっくりと撫で上げる。
くすぐったいとも違う……
身体中に熱が這い回るような、芯から蕩けてしまいそうな……初めての甘い痺れ。
「…はぁ…んんっ……っ」
彼の体温を受け入れようとした瞬間、潤んだ下半身に裂かれるような痛みが走った。
「琴音……怖いか?」
小さく震える私をギュッと抱いて、彼が不安気に私の髪を撫でる。
私を労わる優しい瞳。そして、彼の額に滲む汗。濡れた前髪。
痛みに耐え、苦しいのは私だけではなく彼も同じなのだと気づいた瞬間、言葉では言い表せない愛しさが込み上げた。
「怖くない……大丈夫だから、止めないで」
彼の首に両腕を回し、懇願するように抱きついた。
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