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風俗の聖地だと聞かされていたラバウルにはその影は全くなくまさに血で血を洗う洗浄だったのだ、障害者二級手帳を持つ晴清は国の非情なシステムに利用されたのであった。晴潔は騙され利用されたことなど知らずに戦地をさ迷う、何故誰も俺に近づかない、ラバウルはどこだ! 銃弾をかすめながらも晴潔に玉は当たらない、敵兵は晴潔に次第に恐れをなしていく、戦地では攻撃は最大の武器でありまた恐怖心が全くない晴潔はまさに ソルジャーオブソルジャー、兵士の中の兵士 といわざるおえないだろう。また晴潔の部隊は全隊員障害者で結成されており戦地では神風の如くふきみだれたのだ。身体障害者を部隊と結び付けた男、 野口。切れ物である、政府の防衛庁を影で操る冷血な男、しかし彼もまた深い哀しみにみちている事は今は語るときではない。今後晴潔が野口と巡り会いどのように関わっていくのか、、、、、
ここに群れから外れたマントヒヒがいる、本来マントヒヒは集団で行動する生き物である。しかしこのマントヒヒにおいてはそれはあてはまらない、それはこのマントヒヒの身体的な異形ともいえる容姿が災いしたのかもしれない。この一匹のマントヒヒは三ッ目だったのだ。どこの世界においても集団は並外れた個を排除しようとする。それはこの冬のおとずれないラバウルの野生生物の中でさえも例外ではない。しかし三ッ目のような仲間から外れた者達であっても時に群れて行動する事もあるかもしれない。今一匹の手長猿の赤ん坊が生命を終えようとしている、この異形の猿の赤ん坊は腕がなかった、そのため三ッ目と同じく集団から排除されたのであろう。三ッ目が手無しを見て同情のようなものを覚えるかどうかは物語りがすすむに連れて明らかになるだろう、しかし今の時点で三ッ目が手無しにたいして同情や共感するということはありえないといわざるおえない。この厳しいラバウルの野性では持得ない感情である。
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