第四話

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第四話

成田から約6時間、ポートモレスビーから飛行機を乗り継ぎ2時間ほどで「南太平洋の真珠」と称されたラバウルに到着する。野口は煙草の煙りを燻らせながらウィスキーを呑んでいた、「お飲み物はいかがですか」キャビンアテンダントが野口の横で止まった。「ウィスキーを、」飲み方は? 「ストレートノウ,チェイサーで」野口は指を三本指し出した。チェイサーとは 後を追うものの意味を持つ、野口が指三本指し出したのはグラスの底から指三本の高さまで注いでくれという事だが 野口の今の自分の心境は まさしく「ストレート ノウチェイサー」であった。自分の後を追う者など必要ないと考えていた、そう思うと人生の中のほんの数十秒、初めて出会った女に自分の心境を語る無防備な姿の自分が可笑しくなりニヤリと方頬をあげた、滅多に笑う事のない野口だがそんな野口にも笑顔が日常に絶えない時期もあった。
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