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野口が18の時母親が再婚する、相手はウィスキー会社を経営する井澤という男だった、井澤は誰にたいしても愛想よい男だったが野口は厳格な父で育ったせいかそんな井澤に対して、 本心のない男 と 印象付け余り係わらなかった、しかし井澤の良夫ぶりは凄まじく
母親をとても元気づけた、しだいに頑なな野口の心も打ち解けていった。ある日伊沢は野口に「うちの会社の宣伝部に来ないか?」と言った、野口は冗談だと思い笑っていると、井澤は真剣な顔で「わかった、お前がそんな気持ちで聞くならなかった事にしよう、真剣に生きている若者は他にいくらでもいる」と言い部屋を出て行こうとした。 野口はすぐに井澤に謝った、そして頭を床にこすりつけ自分の体重以上の力を頭に込めた! それを見た井澤はまたしても真剣な顔で
「ダメだ、さっきのがお前の転機だったんだ、それに気付きもしないで間抜け面して笑ってたお前は本当に生まれっぱなしだよ、、」 野口は土下座をやめない・・・「全くお前って奴は、、だがそれがいい!」野口は尻に槍を突き刺されたかのように顔を飛びあげ目をパッチリさせた。元々目の大きな野口の顔は小動物のようだった、「お前のその生まれっぱなし、俺は気に入った。頑張れよ」野口は嬉しかった、野口の幼い頃から感じていた将来への雷鳴響く灰色雲のような不安は井澤の仏光により照らされたのであった。野口は井澤に忠義を誓った。しかしこのあと野口は日本のあまりにも醜いウィスキー産業の実体をしることになるとはこの時の野口には知るよしもなかったのだ。
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