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「お前の家族、一人も見つからないせいで事件がこれっぽっちも進まないんだ……」
「それはそれは、苦労してるようだな」
他人事かのように彼は言う。
そんな姿を見て、クリスはふと思っていたことを口に出した。
「なぁ、お前見える見える言ってるけど、自分の家族が今どこにいるかとかはわからないのか?」
それを聞くと、ルッキーは落ち着いた様子でコーヒーをひとくち口に含んだ。
「警察がそんな神頼みになっていいのか?」
「俺はお前を神として崇め立ててない。友人として頼んでいるんだ。
わかるなら教えてくれ」
「友人」
一言、クリスの言葉を反芻すると、考え込むように彼は目を閉じた。
友人という言葉が彼にどう響いたのかは、クリスにはわからない。
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