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真っ青なくま付きの目と視線がかち合った。
黒で縁取られたその濁った目は、クリスの方こそ向いていたが、見ているのはもっと遠くのような気がしてきて、クリスは恐ろしくなった。
「神とか、そういうの、止めよう?」
「何故」
「もうあの宗教施設とはおさらばしたんだし……」
「俺が何故と問いかけているのはそこじゃない。
何故お前が俺を気遣うかだ」
「あぁっ!もういい、この話はよそう。出掛けよう」
この調子ではずっと話がかみ合わないままだ。
それじゃあきりがないとクリスは考えて出掛ける方を優先した。
そんなクリスの様子を見て、ルッキーはただ一言。
「全部知ってるんだからな」
とだけ呟いた。
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