起点

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大勢の信者とみられる人々がパニックになってあちらこちらへ逃げ回る。 床には薬物とみられるものが散らばっていた。 これだけパニックになっていたら、転んだ人が無事ですまない。 もしかしたら死人が出るかもという考えが一気に彼の頭を支配していった。 「静かにしろ!!!」 誰かの怒声が響く。 正面からだ。 パニックになっていた信者たちも一斉にそちらを向く。 巨大なステンドグラスが彼のシルエットを濃くしていた。 その姿はずいぶんと小柄で子供のようにも見える。 信者が次々と座り込み出す。 いや、座り込んでいるのではない。 彼に跪いているのだ。 ついに立っているのは警察だけになった。
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