起点

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「警察が来ただけでなぜ逃げる? その行動こそが、己が罪を犯しているという最大の証拠になりうるというのに!!」 凛と響く声はまだ幼い子特有のものではあるものの、その口調はどこか大人びたものを感じる。 「燭台に灯りを!! 下手に騒いで撃たれるより、落ち着いて話し合い、帰ってもらうのが一番だろう?」 その声は優しく諭すように信者たちに語りかける。 平静を取り戻した信者たちは言われた通り、燭台に灯りをともして警察たちを前にいる彼の元へ誘導する。 俺も一番近くにいた若い女の信者に促されて、彼の元へ行った。 ずいぶんと派手に着飾っている彼は、近くで見るとなお幼く見えた。 十代前半頃に見えるが、誘拐された少年とは彼のことなのだろうか。
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