未来

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「ねぇねぇ。ママ。」 少年が、一緒に手を繋いでる母親に話しかける。 「どうしたの。孝太。」 母親は少年の顔の前にしゃがみこみ、そういって孝太に優しく微笑む。 「どうして僕は日本人なの?」 「それは、孝太がママとパパの子供だからよ。」 「ふーん。」 腕を組みながらそういうと、孝太はすぐに次の質問をする。 「じゃあどうしてママは日本人なの?」 「それはママがおじいちゃんとおばあちゃんの子供だからよ。」 「そうなんだ。」 腕を組みながら頷く孝太を見て、母親はクスクス笑っている。 「じゃあどうして僕達は日本人って分かるの?」 「それは、私達のいる場所が日本だからよ。」 「じゃあ……。」 その言葉に孝太はすぐに質問する。 「日本がなくなったらどうなるの?」 「え?」 母親から笑顔が消える。 孝太はかまわずに、母親に問い詰める。 「なんで日本は兵器をつくらないのに他の国は沢山つくってるの?」 「孝太?」 「日本が無くなったら僕達何人になるの?」 そういうと、孝太の瞳から一粒の涙が落ち頬を伝う。 「孝太……。」 母親は、孝太を優しく抱きしめる。 「大丈夫よ。孝太は何も心配しなくていいわ。日本はずっと平和だし無くならないし、孝太もママもずっと日本人よ。」 「ほんとに?」 「ほんとよ。孝太は悪い夢を見たのよ。孝太は、これからも日本人として育って、立派な大人になるのよ。だから大丈夫よ。」 「うん!」 服の袖で涙を拭き、孝太は力強く頷く。 「家に帰りましょう。パパが待ってるからね。」 「うん!」 母親の優しい言葉に、今度は笑顔でそういい孝太は頷く。 二人は夕陽に向かって歩いていく。 手を繋ぎながら小さくなっていく二人の親子。 なぜかその後ろ姿が寂しく見えたのはきっと……。
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