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初戦突破を果たした秋葉高の次の試合は五日後の、大会第九日目に予定され、この日の第一試合で勝ち残った道後高校(愛媛)が対戦相手となった。
初戦の試合終了後、退出準備をしている一塁側アルプススタンドの晶子たちチアガール隊の所へ、澤本一樹と伊藤さちえがやって来た。
「晶子さんに朋美さん、お疲れさま。今日は初戦突破を果たしたので僕たちも応援に来たかいがあったよ」
「一樹さんにさちえ。あなたたちも応援、お疲れさま。それで、これからどうするの?」
「ああ、僕らは今夜、来た時と同じバスで帰るんだ。次の試合は五日後で第一試合だから、また深夜バスになるね」
「行ったり来たりじゃ大変ね」
朋美が心配そうに言った。
「うん。強行軍だけど、他の生徒の引率を頼まれてるから仕方ないよ」
「でも、今夜の出発だったらまだ時間があるんでしょ。場所を変えてランチしながらお話しでもしましょ」
「そうだね。他の生徒たちもそれまでは大阪見物や買い物とかするだろうし、集合場所や時間も連絡済みだからね。さちえさんも良いでしょう?」
さちえがコクリと頷いた。
「ところで、一樹さんの選挙公約だった校内ダンスパーティーを新設するっていうのは実現するわけ?」
大阪市内の中心地、梅田に戻ってきた晶子たち四人が入ったショッピングモール内の喫茶店で、晶子の開口一番だった。晶子の向かい側に座る一樹が笑顔で頷いた。
「勿論、それは次期生徒会の大きなプロジェクトになるよ。このダンスパーティーのアイデアはさちえさんが発案者なんだ」
「へえ、そうだったの。そう言えば、さちえは頑張り屋さんだし、カラオケでも歌好きってすぐ分かったものね」
そう言って、晶子の左隣に座る朋美は、剣道部夏合宿の打ち上げ会を開いた時さちえが一番の歌好きだったことを披露した。一樹の右隣に座るさちえは嬉しそうに頷いた。
「秋葉では新しい学校行事を導入する時には、生徒総会の三分の二の賛成が必要なんです。だから、生徒会役員会の企画案を作成したあと、臨時の生徒総会を開いてみんなの賛成を得る仕事が最初のわたしたちの大きな仕事になります」
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