第三夜:歩美

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私は戸惑いながらも車に乗り込み、小田の隣に腰を下ろした。 「歩美っち部長、なんで助手席空いてるのに後ろ座るわけ?」 光本がハンドルを握りながらそう言って振り返る。 「そこは彼女が座る席でしょ!私はあんたの女じゃないし」 「相変わらず頭固いなー。ってかさ、T県の●●山までとりあえずナビセットしたけど、だいたい5時間くらいは掛かるよ?」 「まぁ、だいたいそれくらいは掛かるだろうな……。運転変わってやりたいが、私も小田も免許無いからなぁ」 私がそう言って軽く溜息をつくと、光本は「大丈夫、運転が苦にならない人間だから!」と明るい笑顔でエンジンを掛けた。 その言葉に安心した私は、後部座席の背もたれに身を預けた。 車は数分で高速道路の入口に辿り着き、軽快に目的地へ向かっていく。
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