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それから、いくつかのパーキングエリアに寄りながら、私達が乗る車はT県山麓付近のインターを降りていく。
「すっごい田舎だな……」
インターを降り、街中を走りながら光本が呟く。
「確かに……。でも、落崖村のある山はもっと北の方だな……。あと1時間は掛かる」
私が地図を見ながらそう呟くと、光本は「マジか……」と溜息交じりに呟いた。
小田は妙に緊張した顔で、窓から流れていく風景を見つめていた。
「小田、もしかして怖がってるのか?」
私が顔を覗き込みながらそう問いかけると、小田は首を左右に振って否定する。
「こ、怖くなんてありません……。ただ……」
「ただ?」
「なんか、嫌な予感がするだけです。こういう勘って僕、よく働くから……」
小田は履いているジーンズの膝部分をグッと掴んだ。
「おいおい、怖ぇこと言うなよ!」
光本が怪訝な顔で小田を睨む。
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