第三夜:歩美

2/46
前へ
/47ページ
次へ
「怪しい……絶対怪しいわ。このスレッドの管理人。結局自己紹介してないし」 慶京大学内西校舎の3階の端にあるオカルト研究会の部室。 そこで、私は眉間に皺を寄せて呟いた。 手に持たれたA4のコピー用紙を見つめながら。 「歩美っち、何をさっきから難しい顔してんだよ。またあれか?年末に消えたスレッドのコピーを見てるのか?」 オカルト研究部副部長にして、無駄にイケメンな光本純也が私に話しかける。 「だっておかしくない?この村から帰った者は誰も居ないとか言いまくってたくせに、最終的に生きて戻ったのは私だって言ってるんだよ! 何回読んでも意味がわかんない!あと、私のこと歩美っちって呼ばないでくれる?」 「どうせ頭イカれた奴が作った嘘釣りのスレッドだろ?スレッドを消したのだって、あんまり釣られる閲覧者が居なかったからだって。 そんなもん詳しく調べないで、うちの学校の東校舎に出たっていう地縛霊について調べないか?なぁ、歩美っち」 「ごめん、興味ない。地縛霊なんてありきたりだし。 調べたいなら光本が一人で調べて」 私はスレッドのコピーを再び最初から読み返しながら、光本を冷たくあしらった。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1039人が本棚に入れています
本棚に追加