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「そんな顔しても可愛くない!どうりで荷物が少ないと思った……」
私が肩を落としてその場に座り込むと、光本が無駄に爽やかな笑顔で覗き込む。
「ハハハ、大丈夫!あそこで寝よう!」
光本が指差した先を見ると、今にも崩れそうな廃屋が口を開いていた。
天井や壁は所々穴が開いていて、白蟻や毛虫が床を這っている。
「あんな場所で寝れる訳ないでしょ!よくそんな爽やかな顔で、えげつない提案が出来るわね」
私が光本の肩をドンと押すと、顔の前で手を合わせて頭を下げる。
「ほんとゴメン!まぁ、一応屋根あるし、外で寝るよりは暖かいだろ!」
「あんな気味の悪い家の中で寝るなら、外で寝た方がマシ!さぁ、とりあえず新聞に使う写真を撮らなきゃ……」
私はカバンからデジタルカメラを取り出し、廃屋の外部や内部の写真を何枚か写した。
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