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「なんだ、別に何も写ってないじゃん!」
呆れた顔でそう呟いた光本は、再び廃屋の方へ戻っていった。
「ここはお前が思ってるほど、危険な場所じゃないかもしれないな……」
私は小田にそう言ってほほ笑み、デジカメをカバンの中にしまった。
「あっ、そう言えばこの村の終わりには崖があるんだった!おーい、光本、崖まで行ってみないか?」
廃屋の中で何かを拾っている光本に呼びかける。
「あぁ!そうだな……行ってみよう。ってかさ、かなり気持ち悪い人形が落ちてたぞ!」
駆け寄る私に、首の取れた日本人形を見せつける。
着物の所々は切り刻まれ、左足がもぎとられている。
胸の部分に十文字に深く入った傷が、着物の隙間から見え隠れしている。
「光本、そういうのってあんまり触らない方がいいんじゃないか?祟りとかあるかもしれないぞ!」
私がそう言うと、光本はニコッと笑って人形を遠くの茂みに放り投げた。
「祟りなんかねーって!どうせ、この場所を前に訪れた人間が怖がらせる為に設置した人形だ」
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