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その言葉に背筋が凍りついた私は、鳴り続けるスマホをジッと見つめた。
いつの間にかバイブ音は鳴り止み、留守録へと切り替わる。
発信主が何かを録音しているらしく、数秒後にスマホの画面は光るのを止めた。
「光本……留守録に何が……」
「俺は聞かないぞ!!もうこんな電話……ぶっ壊してやる!」
私の言葉をかき消すようにそう叫んだ光本は、スマホを勢いよく踏みつける。
「ソンナコトシテモムダダヨ……」
突然、耳元で囁かれた。
私の耳がおかしくなかった訳では無いようだ。
光本も耳を捻りながら涙を流している。
「止めろ……止めてくれ……」
その後、光本は白目を剥いて頭を抱え、何故か落崖村の方に戻っていく。
「光本!車はそっちじゃない!おい、光本!!」
遠くなっていく光本の背中に大声で叫ぶが、光本は止まることなく消えて行った。
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