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森の中、一人残される私。
背後から何かに見つめられている気がして振り返ると、スマホの隣に人形の首が落ちている事に気づく。
明らかに数分前までは落ちて居なかった人形の首に、私の精神状態は限界を超えようとしていた。
しかし、私まで狂ってしまったら終わりだ。
小田と光本を連れてこの山を降りるまで、私は諦める訳にはいかない。
恐怖で頭が麻痺しているのか、私は人形の首を掌に乗せて見つめる。
右側の髪の毛が毟り取られ、左目だけが刳り貫かれて空洞が出来ている人形の首。
何かを訴えるような人形の右目は、私をジッと見つめている。
『もしかしたら……この人形の首をあの胴体にくっつけたら……。私たちが身体を投げたりしたから怒ってるんじゃ……』
廃屋の壁に投げつけた人形の身体を思い出した私は立ち上がって落崖村の方に身体を向ける。
どちらにしても、あの村に一旦行かないと小田と光本に会う事は出来ない。
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