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私は人形の首をグッと握り、画面にヒビが入った光本のスマホをカバンの中に入れた。
来た道を勢いよく走って戻る事数分。
私は再び落崖村に足を踏み入れた。
3人で初めて村に来た時と状況は明らかに違う。
いつの間にか消えていた小田、白目を剥いて狂ったように走り去った光本。
この村に居るのは間違いないのですぐに探そうと思うのだが、私の足は廃屋に近づく事を拒絶している。
夕方は小さいと思った廃屋が、今は巨大な要塞のように見えてしまう。
入ったら抜け出すことの出来ない闇の要塞。
自然に足は後退していた。
しかし、ここで逃げ出しても車の鍵も免許も無い私はどうすることも出来ない。
意を決して、2人の名前を叫んだ。
「小田ーー!光本ーー!」
声が掠れて大きな声が出せない。
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