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予想はしていたが、私の声に反応するものは誰も居ない。
深呼吸を数回繰り返し、足を前に踏み出した。
廃屋は全部で30軒ある。
端から順番に探していくしかない。
置き型ランプは光本のカバンの中だ。
背負ったまま走り去った為、スマホの照明のみで捜索をしないといけない。
しかし、スマホの電池残量は既に5%になっており、ゲージは赤く光っていた。
最悪の場合の連絡手段にスマホは使いたくなかった私は、デジカメを取り出して照明を点けた。
『これなら、しばらく大丈夫だ……。まず、2人を探す前に人形の胴体だな……』
私は右手に持っている人形の首を見て最優先にするべきことを頭で整理する。
闇に支配された廃屋の恐怖を少しでも取り除く為に、夕方に撮影した明るい廃屋の写真を再生する。
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