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崩れた玄関に手を掛け、仏間だったであろう部屋まで這っていく。
木屑やガラスの破片が刺さったのか、掌から血が出ている事に気づいた。
しかし、血など気にしている場合ではない。
私は服の裾で血をふき取り、武器になるようなモノが転がっていないか首をキョロキョロさせる。
「これだ……」
私はそう呟き、天井の支えに使っていたであろう太めの木材を手に取った。
両手で握りしめて玄関を見つめる。
少女の姿は見えない。
「居るなら出てきなさい……」
私は震える声で玄関に向かって呟く。
しかし、返事は何も帰って来ない。
それから数分間、私は身構えた状態で玄関を見つめるが、一向に少女が入ってくる気配は無い。
張り詰めていた緊張の糸を解いた瞬間、光本の叫び声が遠くから聞こえてきた。
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