1040人が本棚に入れています
本棚に追加
「うぎゃぁああああああああ」
断末魔の叫びとはコレの事を言うのだろうか。
笑いながら冗談を繰り返していた光本の声とは思えないほど、耳を塞ぎたくなるほどに汚い呻き声だった。
私はすぐに廃屋から飛び出し、声が聞こえた方向へ走っていく。
なだらかな坂を駆け上がり始めた時、既に叫び声は止んでいた。
私が足を止めて顔を右に向けると、1時間程前に3人で寝床にしようとしていた廃屋があることに気づく。
「そうだ……人形の首を……返さないと……」
心の中で思っている事が、恐怖のせいか口から出てしまっている。
私は人形の首を握りしめ、光に吸い寄せられる蛾のように廃屋へ入っていく。
一歩足を踏み入れた瞬間、血生臭い匂いが鼻をつく。
「光本?」
そう問いかけるが、廃屋の奥に広がる闇からは何も言葉は返って来ない。
意を決した私は、デジカメのライトを点灯させて奥へ進んでいく。
最初のコメントを投稿しよう!