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デジカメの光で足下を照らすと茶色い木片の上に点々と血痕がついている事に気づく。
奥に進まなければならないのに、私の足は一向に前に進まない。
「……み…………つも………っ」
光本の名前を呼ぼうとするが、唇がブルブル震えて言葉にならない。
『これ以上ダメだ……』
私が心の中でそう呟いて膝を床の上についた瞬間、いきなり肩を何者かに掴まれる。
「ひっ…………」
私は全身を震わせながら前のめりに倒れ、恐怖のあまり失禁した。
肩を掴んだものに目を向けるが、暗闇の為に誰なのか解らない。
「だ……誰なの?」
私が恐る恐る問いかけると、聞き覚えのある低く暗い声が返ってくる。
「部長……ですよね。酷いじゃないですか……なんで、僕を置いて行ったりしたんですか?」
声を聴いた瞬間、小田であることに気づいた私はジーンズの濡れた部分を抑えて立ち上がる。
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