第三夜:歩美

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「大丈夫。私は富士の樹海からも帰ってきた女だ。地図もあるし迷う事は無い」 そう言って私がスレッドと共に印刷しておいた手書きの地図を机の上に置いた。 「おいおい、子供が書いた宝の地図じゃあるまいし、まさかこんな地図で目的地に辿り着けると思ってんのか?」 光本は地図を手に取り、焦った表情で呟く。 「これだけ情報があれば十分だろう……。全部スキャンして、スマホに取り込んだから安心しろ」 「いやいや安心なんて出来ねーし!ってか4月1日って来週じゃんよ!」 「あぁ、来週だな。なんなら明日行くか?」 「行くわけないだろ!ってか小田の奴も連れてくだろ?」 光本はスマホを弄りながら、私に問いかける。 「そうだな……あいつの仮病が治ってたらな」 「大丈夫。あいつが心霊スポット巡りとか好きな事知ってるんだ。こういう類の話なら喜んで来るだろうぜ」
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