はたけのかみさま！

1.人と人が出会うのは、春だけとは限らないのです

草葉の影に居るなら引き摺り出して小一時間文句を言ってやりたい気分だ。

まぁうちのジジイの場合は草葉じゃなくて作物の影に居そうだけど、死んだからってそう簡単に冥福を祈ってもらえると思うなよコノヤロー。

相続の時に正確な数字を知ったんだけど、うちの畑は実に四百坪もの敷地面積を誇るらしい。軽くテニスコート二面半くらいはあるわけで、そりゃあやってもやっても終わらないわけである。

まぁ、農地ってことで相続税が安かったから収入が無い高校生の身としては有り難いけど、果たしてそのリターンにリスクが見合っているかというと疑問符が浮かんでしまう。

何て言ったって、これのお蔭で俺の高校生活はバラ色でも灰色でも無く土気色をしている。

土気色っていうのはあれだ、今にも死にそうな人の顔色に使う比喩表現だ。青春が死にかけた顔色で恨みがましく俺を凝視しているのだ。