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「そんなに不安にならないでください
僕が必ず守りますから!」
白ウサギはそう言うけれど、私の中にある不安が消えることはなかった
そんな私の心情を読み取ったのか、白ウサギは、ハートの指輪を着けた右手で私の頭を優しく撫でて、言葉を続けた
「大丈夫ですよ アリス
僕が君を守ります
誰にも触れさせたりしない
誰にも殺させたりしない
そう、
他の誰かであってはいけない
アリスは僕の……」
「白ウサギ?」
「はい
なんですか?」
なんだろう、いま、一瞬だけど白ウサギから恐怖に似たものを感じた
私の頭を撫でる手は優しいのに、眼鏡の奥にある瞳から、狂気を垣間見た気がしたのだ
「いや、なんでもないわ
というか撫でないでよ!」
そう言うと、白ウサギは「そうですか」と微笑み、撫でていた手を私の頭から離し、住人について話始めた
「ここの住人は残酷で無慈悲です
なので、…」
さっきの白ウサギはなんだったんだろう
深い狂気の色を宿した瞳に、一瞬だけど動くことができなかった
「ですから、彼に会うのだけはオススメしません。」
いまは全然普通だ
さっきの雰囲気は微塵も感じられない
「って、アリス!
僕の話を聞いていましたか?」
「えっ、あ、うん
ちゃんと聞いていたわよ」
実は全くもって聞いていなかったけど、さっきの貴方が気になって聞いてなかったなんて言えない
「…なら、いいんですが」
「それはそうと、一番肝心な4つの都市について教えてくれない?」
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