第一章

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10年前。ライをエナが身籠っている時、『レイ』を破棄する事に付いて議論が重ねられた。 「専用の部隊を作った今、解散させてまで破棄する必要がありますかな?」 『レイ』と『イージス』を装備した『特別警備部隊』が存在し、精鋭に選ばれる栄誉に注目は集まった。 『剛化部隊』という部隊と共に存在していたが、自らの能力だけで対処しなければならない『剛化部隊』には、憧れでは無く憐れみが集まった。 当時、人型の魔物が脅威を振るっていた。 『特別警備部隊』と『剛化部隊』の両部隊は、人型の魔物に抵抗出来る部隊として存在していたが、白の賢者英雄レオンハルトの暴走とも言える独断専行の活躍で、部隊が大きな戦闘をする機会は無くなった。 「その部隊が必要無くなった今、不要な力は闇に葬るべきです」 「不要になった証拠など、どこにあるのですか?」 「今、敵は去り、魔物の被害はありません」 「また、来る可能性はゼロでは無いではないですか」 「だとしても、レイを世に残す必要はありません」 「何故です?」 「イージスを残しておけば、レイ程の攻撃も防ぐ事が出来ます」 激論は何度も続いた。 堂々巡りの議論に、終止符を打ったのは、国王の命だった。
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