第一章

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ならば何故、モール小国から『破邪』の魔法陣を王都に描き終わった際、取引をしなかったのかと言われれば、当時は発見出来なかったからだ。 近年、新しい埋蔵坑道を発見し、モール小国は小国の中では潤いを見せている。 早い話。龍介の発明の模造品を造り、南部の小国へと暴利で売り捌いているのだ。 当然、国が違えば著作権やら特許権なども適応されず、まんまパクられた商品が違う元紋(ロゴマーク)で出回っている。 話が脱線してしまったが、とにかくモール小国が保有する魔力含有鉱石に物言わせて、龍介の独壇場だった市場を脅かし始めたのだ。 それが、単なる魔動製品ならいいのだが、『レイ』といった兵器まで真似されているのだから事態はよろしくない。 使っている鉱石の鍛金が悪いのか『レイ』ほどの威力は無いものの。十分脅威である事は同じなので、平和を唱えるオーディ王国は兵器の破棄を小国に訴えているのだ。 「うむ。我らは中立を保ち、無法を働く小国を諌める立場に回る」 「ハッ。仰せのままに…」 室長イアンが恭しく快諾するが、30代後半の太めの男が、今の状況を憂慮した言葉を吐く。
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