第一章

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『増幅装置』たる王宮に増設された塔は、『倍増』の魔法陣を100枚連ねており、世界へ魔法を放てる究極の破壊兵器としての一面を持っている。 しかし、この一面は誰も知らない。 龍介以外はだ。 それに、破壊兵器として使う場合は、着弾点と塔の発射点を、転移魔法陣で繋げなければ意味が無く。 転移魔法陣を使わないなら、空に向かって飛んで行くだけの物である。 しかし、索敵魔法や千里眼の魔法は、元々外へと広がって行く魔法の性質の為に、そのまま使う事が出来るのである。 『増幅装置』は、破壊兵器としての一面を知られていないので、破棄される理由は無い。 それに、『増幅装置』のお陰で、念話魔法の広範囲活用が実現した。 今作品の冒頭でも描いた通り、王都内ならどこからどこへでも繋がる様になったのだ。 嫌味を口にする研究者へ、事実は事実と、龍介が反抗の声を返す事は無い。 彼等の言う事は事実であるし、自分でも後悔しているのだから、心を痛めるだけである。 そして、何よりその恩恵に守られ、今日まで生き延びた連中が何を言っても、才能を妬んだ凡人の嫉妬にしか聞こえないのである。 龍介の発明のお陰で、人類は生き延びた。
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