第一章

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答えられず首を傾げると、驚いた顔をされる。 友達はいる。 家の隣に住む父親の親友の子供達と、家の前に住む工場の従業員の子供達だ。 100人近く居るので、自然とグループは出来る。 シバさん家の次男オルド。 ゲイルさん家の三男ロイル。 基本的に、いつも三人でいる。 風呂掃除で貯めた小遣いを握り締め、飴を商店で求める。 そんな事をしてると、道を行く馬車の上から声を掛けられ 「やぁ、オルド君。これも甘いぞ」 と、リンゴをオルド経由で渡される。 農家とも繋がりがあるのかと、人付き合いの上手いオルドに感謝し、リンゴを食べながら公園へと向かう。 72区には、父リュースケが巫山戯て作った巨大な公園がある。 家の薔薇園と併設された公園は、木造の遊具が大量に設置され、子供達で溢れている。 「うわっ…。全然、空いてないな…」 「いつもの事だろ」 「まぁ…」 巨大公園の名物と言っていい。網梯子を登った先にある長い滑り台。 10歳からしか挑戦してはいけないと決められており、満たない子は母親、兄姉に抱かれて滑っている。 僕も、一人で滑るのは初めてなのだ。 登るまでが大変だが、たかだか20mの高さで、5m毎に段違いになっているので、到達は困難では無い。
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