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「行くぞ!」
気合い十分に、オルドが網梯子に手を掛ける。
「うりゃ~!」
と、登頂を済ませ、余りの高さに足が竦む。
「このくらいの高さ…」
「い、行くぞ!」
人が他にも居るので、滑り降りる決心は早く固めなければならない。
「うわー!」
「ぎゃ~!」
滑走する時間が長い。
1分は滑っていただろう恐怖と興奮に、足が震えている。
だが、面白い。
さすが、父さん。
そう思って、再度網梯子へと走った。
………遊び疲れて帰ると、母親がムッとした顔で待っていた。
「どこ行ってたの?」
「遊びに行くって、言ったよ?」
「誰に?」
「お兄ちゃん…」
「また、レオン…」
そう言うと、母は諦めた様に、食事の準備を再開した。
兄レオンは、勉強に集中すると、他に意識を向けない事がある。
果たして、僕が出掛ける事を言った事も、覚えているか怪しい。
「レオン。ライが出掛けてるなら、ちゃんと言いなさい。お母さん聞いたでしょ」
「……うん」
「本から目を離す」
そう言えば、父はどこだと、探してみるが、見当たらない。
「お母さん。お父さんは?」
「あっ!。リュースケ君。ライちゃん。居たよ」
父がこの場に居ないのに、声を出しているのは、念話魔法だ。
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