第一章

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「行くぞ!」 気合い十分に、オルドが網梯子に手を掛ける。 「うりゃ~!」 と、登頂を済ませ、余りの高さに足が竦む。 「このくらいの高さ…」 「い、行くぞ!」 人が他にも居るので、滑り降りる決心は早く固めなければならない。 「うわー!」 「ぎゃ~!」 滑走する時間が長い。 1分は滑っていただろう恐怖と興奮に、足が震えている。 だが、面白い。 さすが、父さん。 そう思って、再度網梯子へと走った。 ………遊び疲れて帰ると、母親がムッとした顔で待っていた。 「どこ行ってたの?」 「遊びに行くって、言ったよ?」 「誰に?」 「お兄ちゃん…」 「また、レオン…」 そう言うと、母は諦めた様に、食事の準備を再開した。 兄レオンは、勉強に集中すると、他に意識を向けない事がある。 果たして、僕が出掛ける事を言った事も、覚えているか怪しい。 「レオン。ライが出掛けてるなら、ちゃんと言いなさい。お母さん聞いたでしょ」 「……うん」 「本から目を離す」 そう言えば、父はどこだと、探してみるが、見当たらない。 「お母さん。お父さんは?」 「あっ!。リュースケ君。ライちゃん。居たよ」 父がこの場に居ないのに、声を出しているのは、念話魔法だ。
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