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そんな、勝手に決めないでよ。
そう言おうとしたけど、言えなかった。
だって彼が
痛いほどに真剣な目をしているから。
「なんでそこまで…。恋している人は私以外にも沢山いるのに」
「ダメ、颯姫じゃなきゃ駄目なんだ」
なんでそんな顔するの?
私は自分でも押しに弱いって自覚している。だから今回も、
「…わかった。頑張ってみる」
そう言ってしまったのは仕方のないことだ。
「よかった!じゃあ改めてよろしく」
カイさんの嬉しそうな顔を見て、ちょっと私も嬉しくなってしまったのは、きっと気の迷いだ。
「あの、カイさん。よろしくって言っても、私手嶋君と二人で話したこと、ほとんどなくて…」
するとさすがのカイさんも困ったように眉を下げる。
「うーん、けどゆっくりはしていられない。期限は3日。それを逃したら結ばれる可能性が格段に落ちるから」
私は最初、カイさんの言っている意味がわからなかった、否、わかりたくなかったのかもしれない。
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