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ちょっと頑張ってみようかなって、そう思えた。
「頑張ってみる」
私がそう言うと、カイさんはホッとしたような笑顔を浮かべる。
あ、この顔好きだな。
「じゃあ早速作戦たてるぞ」
カイさんはそう言って真剣に作戦を考え始める。
改めてカイさんを見てみると、すごく不思議な人だと思う。
漆黒の翼が無くて、黙っていればどこかの聖歌隊の衣装を身にまとった神々しい青年のよう。
逆に一度口を開くと生意気な少年みたい。
自分でも彼の一挙一動に惹かれていくのが分かる。
じゃなきゃ人見知りの私がたった数分で心を許してしまう筈がないから。
「…なに、さっきから。ジロジロ見られると困るんだけど」
カイさんは照れくさそうに視線をさ迷わせている。
口は少し悪い、けど嫌いじゃない。
なんか初々しいから、私と同じなんじゃないかって思えてくる。
まだ、恋なんて右も左もわからない。
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