たった一歩、されど一歩

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「絶対に自分から挨拶すること。何がなんでもだからな」 「う、うん」 昨日話し合った結果、まずは挨拶をする、というところから始めることになった。 で、今私達は通学路の途中で手嶋君を待っている。 偶然を装ってさり気なく声をかけるつもり。 「ほら、来た。行ってこい!」 カイ君の声に後押しされ、一歩前に出る。 …そして一歩後ろに下がった。 「何!?どうしたんだよ?」 「手嶋君の隣に女の子が…」 仲良く一緒に歩いているのを見てしまったのに、そうやすやすと挨拶なんてできるわけない。 「あんたのテジケンへの思いはそんな程度じゃないだろ。大丈夫さ、いつもしてもらっている挨拶を、自分からするってだけなんだから」 わかっていてもなかなか足は動いてくれない。 もしあの女の子が彼女とかだったりしたら、どうすればいいのかわからない。
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