たった一歩、されど一歩

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「そういえば天原、昨日の大丈夫だったか?」 「平気平気。見られてたなんて本当に恥ずかしいな」 嘘みたいだ。本当に手嶋君と普通に話してる。 やっぱり明るくて、優しいな。 隣で友達がなんかニヤニヤしているのがとても気になるけれど…。 ここでもうひと押ししないといけないんだった、と昨日のカイ君との作戦を思い出す。 「ね、ねぇ手嶋君。今日放課後時間ある…かな?」 「ん?あるけど、どうした?」 「あの、もし出来たら、委員会の資料整理手伝って欲しいの。迷惑だと思うけど、お願いできる人いなくて…」 いつもは先生が手伝ってくれるけど、カイ君が「いいチャンス」だって言っていたから頼んでみる。 普通こんな面倒くさいこと手伝わない。ましてや私と手嶋君は仲がいいわけでもないから尚更。 ああ、言わなきゃよかった。 「わかった、俺でよかったら手伝う。女の子に一人でやらせたら、男の名が廃るってもんだ」 「え?」
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