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昨日早めに寝たためか、目覚まし時計が鳴り響く前に目が覚めた。
「よし、今日も頑張ろう」
両手で頬を軽く叩いて、自分を奮い立たせる。
いつも通りの準備をして、髪を結んで鞄を手に取る。
「あ、昨日のやつ」
昨日準備したモノがきちんと鞄の中に存在している事を確認して、鞄を持ち直す。
「じゃ、行ってきます」
玄関を開けて一歩踏み出す。
「わっ!?…カイ君!」
家の真ん前には、昨日よりそわそわとしているキューピッドが立っていた。
「…おはよ。これ、よかったら使いな」
そう言って差し出されたのは小さな瓶だった。
「香水?」
一般的に恋に効果的と思われる、春の甘い花のような香りではなく、どちらかというと爽やかな柑橘系の香りがする。
「本当はもっと女の子らしいのにしようと思ったけど、これが一番僕の力と相性が良かったんだ。悪かったな」
「何か魔法がかかっているの?」
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