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『力』と言う言葉に首を傾げると、カイ君はおずおずと頷く。
「一人前じゃないから恋に効果のあるものは作れない、勇気が出るおまじない程度なんだけど」
照れくさそうに頬を掻くカイ君に、私は小瓶を握り締めて微笑む。
「ありがとう」
「ん」
カイ君は少し頬を紅く染めながら、口を固く結ぶ。
私は早速香水を自分につけてみる。
ほんのり甘酸っぱくて、胸がキュンとするような、ちょっぴり切ない香りがした。
「いい香りだね」
「そ、ならよかった」
素っ気ない返事だけど、その表情は嬉しそうで、私も嬉しくなる。
ここで、ふといきなり疑問が湧きあがる。
「カイ君って他にも『力』を持ってるの?」
「あーまぁ。でも、今のやつもおまじない程度なんだから、大したことはできないよ」
「例えば?」
そう言われると俄然興味が湧いてくる。
しかしカイ君は首を横に振る。
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