爺の教育方針

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【ギギィ!】 潰れた生まれたての赤ん坊のように醜い顔を持ち、小柄な体躯で自身の身の丈も有る棍棒を片手で振り回す。 その姿はいわば定番ではあるものの、ゲームをやることもない老人には非現実的な世界に来たと感じさせるに充分な衝撃を与える。 合計8体のゴブリン達の群れ、一番前に立っていたゴブリンがこちらに向かい棍棒を振りかぶり飛びかかってくる。 「シッ!」 それに対し、棍棒を右手でいなし、素早く左手をその醜い顔に向け振るう。 軽く当てるだけでいい。 それだけでもこの体ならば命を絶つに充分な威力を発揮する。 空中で避けることもままならぬゴブリンの顔面に吸い込まれるように突き出された左手が当たる。 「オォォルァッ!」 予想通り頭が破裂する、生きているかを確認せず、向かってきていたゴブリン達の胴体に向かい右回し蹴りを放つ。 なんの抵抗も無くゴブリン達の下半身と上半身が永遠の別れを告げ、追い打ちを掛けるように顔面に向け、拳を振るう。 「セェイッ!」 立ちすくんでいた残り2体のゴブリンの首に向け手刀を当て、頭を切り離し異世界初めての戦闘はなんの苦労もせず終える。 「さて、小僧の様子でも見に行くかね…」 言葉には心配を滲ませつつ、その立ち姿は何一つ心配はしていないと言っているような物だった。 ゆったりとした歩みで、未だ聞こえる打突音に向かい足を進めていった。
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