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「いいか小僧…自分に敵意を持って近寄ってくる相手は、徹底的に叩きのめせ、息の根を止めろ…だが周りに他人の目が有るときにはじっと耐えて人目の無いところまでおびき寄せろ…犯罪は誰にもばれなければ犯罪じゃねぇからな…無論自分が犯罪だと思えばそれは犯罪だ、自分すらも騙せ、自分にすらそれが犯罪だと悟らせるな解ったか?」
「あうっ!」
元気の良い返事を聞き笑みを深くする。
「んじゃ罠確認してこい…と思ったらもう放血まで済んでるのか…」
小川の向こう側に見える竿にはすでに兎と猪に似た動物が掛かっていた。
血の噴出具合や身の色から、しっかりと仮死状態にしてから血が抜いてあるようだ。
「それなら薪割りでもしてもらおうかね…斧を作るからちと待ってろ」
右足で地面を一度パンッ!と叩くと、その場に、土に含まれる鉄分から鉄の鉱石が生まれる。
錬金術による精錬成形を行い、斧の刃を作る。
ゴブリン達が持っていた棍棒を集め、圧縮し、斧の柄を作りそれを差し込む。
最後に少量残っていた鉄からくさびを作り差し込む。
「ほれ、小僧これを持て」
空中で回ることも無く投げ渡された斧をしっかりもつ少年はまた瞳をキラキラと光らせる。
「んじゃ今から切り倒して見本を作るから、同じように作れよ?余り作れなくてもいい…まだ昨日の分が残ってるからな」
見本を作り、頑張れと一言残し、次郎はまた森の奥へと向かっていった。
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