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(ふぅ…知っていたとは言え、あんなガキが殺しをするのは見るもんじゃぁねぇやな…向こうでいやぁ、動物虐待と変わりゃしねぇがよ…)
なまじ人に近い姿をしているからか、動物の死よりも人の死に近い物を感じつつ、木の伐採を続ける。
鋭く打ち込まずとも木は切り倒され、残った切り株に指を突き刺し引っこ抜く。
まるで重機のように作業をこなしていく次郎の姿は、さながら人の姿をした何かと言わざるを得ない物と化していた。
有る程度広場を広げた後、右足で地面を一叩き。
一瞬地面が波打ち、穴ぼこだらけだった地面は綺麗に整地され、もう一度踏みならせばコンクリートもかくやとばかりに地面が固くなる。
「魔法ってのはベンリだねぇ…」
整地が済み、切り倒した木に向かい雷属性の魔法により急速乾燥、風を操り木材を一本ずつ桂剥きにする。
外皮の部分は削り取り、ヤニは一つに纏め、たいまつの準備をする。
削り切った木材を同じ長さでカットし、ソレをいくつか重ね合わせる。
重力、炎の熱のみを操り、圧着、先程とったヤニの一部を使い、接着剤の変わりにする。
残っている木材から梁を作り、土属性を操り沓石を作りそこにはめ込む。
腹の空き具合から昼の時間と予想し、空を見上げると太陽が真上に見える。
そこで作業を一時中断し、少年を呼びに小川の方へ向かう。
コツも知らない子供に薪割りは難しかったのか、細切れになった木材は気にせず少年の頭に手を置き、昼飯の準備をするため山菜を共に取りに森の奥へと入っていった。
気づくそぶりも見せなかった人影を残して…
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