差別と異端

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Side to HENTAI♀ ショタの前でうろちょろとしていたおっさんが縦横無尽に駆け回る。 時には攻撃を避けるため、時には攻撃を当てるため… 良く分からない徒手空拳による戦闘法を取り、時に投げ、時に突き、時に関節を折り曲げる。 ただし、どれも相手にダメージは与えられていないように見える。 ゴブリンとの戦闘では異常な程の攻撃を見せていたにも関わらず、このワイバーン相手には一つとしてダメージが与えられていない。 外皮が硬いから?いや、そうだとしても最低で、今頃ワイバーンの鱗は全てはじけ飛んでいる程の攻撃力をあの攻撃は持っていた。 実際彼の攻撃が逸れて木に当たった時なんかは木っ端みじんに成っている事から考え、それはあり得ない。 もっと根本的な…何かの制約のような… そこまで気づき、何度目に成るかのワイバーンと人間による組合が始まっていた。 彼の顔は何か悪い事でも考えついたかのようにどす黒い笑みを浮かべている。 「…最初っからこうすりゃぁ良かったぜ…なぁ?糞トカゲ…二度とこっちにこねぇようにな…何処まで行くかは知らんがね」 押さえつけていた手足をどけ、瞬時に尻尾を掴む。 片手とは思えぬ速度でワイバーンを振り回し、手を離すとワイバーンは空高く打ち上げられ、先程まで地面に立っていたはずの彼はワイバーンと並ぶように飛んでいる。 そして繰り出された右足は音速を超えたのか大きな破裂音を立て、ワイバーンの大きな体躯は見る見る内に遠ざかっていった。 私には何が起きたのか解らなかった。 ただ言えるのは… 彼は人の形をした何かと言うことだけ… 私たち人とは根本的に何かが違う。 願わくば彼と私たち人が敵対しないことを切に願う。
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