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真っ白な空間の中2人の老人がこたつを挟んで向かい合うように床に座っていた。
片方は困惑した顔をし、もう片方は珍しい物でも見るような顔をしている。
(ここは何処だ?そしてこの老いぼれはなんだ?)
老いぼれAである権堂次郎は少しでも理解をしようと思考する。
最近の若者ならここが小説内でよく見られる転生の間(笑)もしくは神と出会って転生ハーレム(笑)のイベント会場だと気づいただろう。
(真っ白な空間だが病院のような薬臭さは感じられねぇ…っつか、あの状態から生き返ったんじゃ恥ずかしくってしゃーねーやな…と考えると、ここぁあの世ってヤツかい?まさか俺が天国なんざ行けるたぁおもえんがなぁ…)
「ふはっ…確かにお主は天国なんて概念に行けるような事はしてきとらんわなぁ!」
珍しい物を見るような顔をしていた老いぼれBが口を開く。
まるで次郎の思考を読みとったかのような話しぶりに、思わず次郎は顔をしかめ、警戒の色を濃くする。
「くははっ!そんな警戒せんでもお主を取って喰ったりはせんぞ?まぁまずは自己紹介でもしようじゃないか、権堂組大親分権堂次郎よ」
自己紹介をしようと言いつつも次郎の事は全て知っているとでも言いたげに老いぼれBは宣う。
その言葉を聞き次郎は大まかに相手を理解した。
「ぶはっ!まさか神ってぇのが本当に実在したってーのかい?世の神職者たちゃぁ悦ぶだろうよ!ガハハハ!」
目の前にして尚、その実体を否定する次郎は両手を叩き笑う。
「くはっ!その手の態度の方がよっぽど気持ちいいわなぁ!」
真っ白な空間には2人の老人から発せられるしわがれた笑い声のみが響いていた。
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