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「はぁー笑った笑った…んで?俺はなんでこんなとこにいんのかねぇ?神が居るってんなら俺は今頃閻魔様の前で地獄への恐怖に震えて居るべきなんじゃぁ、ねぇのかい」
殺し、攫い、盗み、燃やした、この世の悪事はやり尽くしたと言わんばかりの顔で次郎は言う。
「お主が地獄如きに震えるもんか、まぁ理解が早くて嬉しい限りだがなぁ…」
神は続けて口を開く。
「実はなぁ、或世界が屑にまみれて死滅しそうなんじゃが、どうだ?その義侠心を使って世界を救ってみんか?」
その言葉を聞き、次郎は笑みを深くする。
その反応を見て神も笑みを深くする。
確かに犯罪を犯しはしたものの、それは悪が悪を潰すために悪を行ったに過ぎない。
とある悪を潰すために殺し奪った。
とある悪を潰すために攫い沈めた。
とある悪を潰すためにその館を燃やしもした。
次郎の中での答えは聞かれるまでも無く決まっている。
「やろうじゃねぇの…詳しく聞かせてくれや…」
その顔は完全に悪人のそれと成っていても瞳は未だ澄んでいた。
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