第3章

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私が泣き止むまで... ずっと優しく抱き締めてくれていた 「ありがとう...もう、大丈夫」 そう言って、私が顔を上げると、優しく頬に手をあてられた いつもは優しいソンミン君の顔が 真剣で少し泣きそうな顔になっていた 余りにも近い距離で見つめられ 頬を撫でられて 私の鼓動は、また速まった 「...ソンミン君?...」 私の言葉に、一瞬ビクッと手を動かし また、いつものソンミン君の顔に戻った その手は、そのまま濡れた髪を掬い 「濡れたままでしたね。風邪を引いてしまいますから、僕はそろそろ帰ります」 と言った その言葉に、少し残念に思う自分がいた ...と同時に自己嫌悪になった さっきまで、ジヌさんの事を考えてたくせに... 「うん、ありがとう、来てくれて」 私は、さっきまでの雰囲気を忘れるように、明るく言った 「はい。でも、本当に無理はしないでください。何かあったら、すぐに電話くださいね!」 そう言って、ソンミン君は、帰って行った 私は、ふぅ...と深く息を吐いた 私って... 昔から、こんなに軽いのかなぁ... 誰にでも、ドキドキしてさぁ... 「って、昔が分かんないんだから、分かんないよぉ...」 一人、部屋で呟いた... 恋愛で悩んでる場合じゃないって... とりあえず、手掛かりを探さなくっちゃ... 小型のキャリーバッグをひっくり返しながら 私は私の痕跡を探し始めた
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