第4章

2/11
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
昨日の夜に辿り着いた自分の痕跡と言えば 名前と生年月日くらいだった パスポートに書いてある自宅や実家に電話をしたけど 誰も出なかった... 自宅は分かるけれど、実家も出ないなんて... 引越しをして、私が書き直していないのか... それとも、家族がいないのか... ホテルは、事故の当日にチェックアウトしていたらしい... 飛行機も事故の当日に乗る予定だった... 同乗者はいないようだから、一人で来たみたい... 仕事の書類はあったけど 取引先らしい名前や住所ばかり... 肝心の勤め先が書いていない... 名刺ケースには、相手の名刺ばかりだ... ただ、取引先の名前に見覚えがあった... ソンミン君達の会社だ... どうやら、私は、コンサート絡みの仕事に来ていたらしい... ただ、内容的には、他の会社も含めたコンペのようだ だから、彼らを知ってる気がしたのかな... 彼らの写真も出てきたし... コンペじゃ、何社も来ているだろうし... 聞いても分からないか... 記憶を無くすと、人間て無力だなぁ... 朝から溜息が出た ...どうしよう... その時、玄関のチャイムが鳴った
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!