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小学校に入学すると、色々な友達が出来た。家の親は多分変わり者だと思う。
「知り合いは多く作りなさい。友達はあまり作らなくて良い」
理由を聞くと
「お前には友達の為になら何でも出来る男になって欲しいからだ。そしてお前もお前の為なら何でもしてくれる友達を作って欲しいからだ。
道幸、美夏ちゃんの為になら山下さん家の犬と戦えるだろう?」
「当然だよ、なんたってぼくは美夏姉の中将だからね、大将の美夏姉がピンチなら何だってするよ」
「美夏ちゃんだってきっとお前が困っていたら助けてくれるだろう。
そうなって初めて友達だ、親友と言っても良い。だからな道幸、友達は必要だが多くは要らない、だからよく見極めなさい。
分かったね」
とこんな感じの話を小学校に入学したてのこどもにしたのだ。
当然ながら美夏姉にもその話をした。そうすると美夏姉は
「ああ中将、私はお前がピンチだったら必ず力になろう。二人掛かりで無理なら一緒に潰れてやるよ」
と今思えば凄い事を言ってくれた。
そう言いつつも小学生だ、一つ年上とは言え女の子と何時も一緒だと冷やかされたりからかわれたりする。
勿論、腕っ節の強く喧嘩っ早い美夏姉がそれを聞きつけた時は大変だった。
冷やかしたりからかった連中を片っ端からボコボコにしていった。これは多分俺も半分くらい悪い、ノートに誰が言ったのかを書き留めておいたのを美夏姉に渡していたのだから。
そして、そのボコボコにしたクラスメイトの中に後に俺の友達になる奴がいた。
「おいこの借りは必ず返すからな、具体的には土曜の昼1時に河川敷でだ」
「もうやめとこうよ。謝るってさっきいったじゃんかよ」
「うるせえ、やられっぱなしは俺のしゅぎにはんするんだよ。
特に女の背中に隠れてる奴に詫びを入れるなんてな」
俺もこどもだったから、その安い挑発にまんまと乗ってしまうのだ。
「分かった、土曜の昼1時に河川敷で決着をつけよう」
それが、俺の初めての美夏姉抜きでの喧嘩の記憶と同性の友達が出来た時の記憶。
海斗と一也を入れて四人。
喧嘩は俺と海斗がボコボコに殴りあう形で最後は美夏姉が俺共々吹っ飛ばした。
美夏姉の一人勝ちだ。
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