6人が本棚に入れています
本棚に追加
ACT-999 【GAME OVER】
◇◇◇
《スタートボタンを押してください》
【スタート】
くっそー!僕はヘルメットをかなぐり捨てた。イテー!
「卑怯だぞ!ムサシ。いや、海斗」
ヘルメットがアスファルトにゴロゴロと転がる。
「し~!静かに!」真剣な面持ちのゆきちゃんが唇に人差し指を添えている。あたりは火薬の匂いが立ち込め、もうもうとした煙が視界を遮っている。
迷彩服姿の海斗が後からゆっくりと近づき俺の右肩に手を置いた。
「戦闘中だ……」首から数珠つなぎの手榴弾をぶら下げている。背中に背負った重機関銃。
「海斗~!テメェさっきはよくも~」
「だから静かにしろっての」ブチ切れたゆきちゃんが振り向き様、AK 41を俺に向ける。鬼のような形相だ。
僕は急いで両手を上げる。僕の右手にはマグナム234が握り締められていた。気がつかず危うく天に向かってトリガーを引くとこらだった。そしたらゆきちゃんに「やかましい!」と一喝され、AK41で確実に撃たれていただろう。アブねー。
しかも、よくよく考えたら、さっきの剣闘で悪いのは海斗じゃなかった。ゆきちゃんだ。
「状況を説明してくれ……」僕は頭を切り替え、小声で海斗を振り返る。今回はチームプレイのようだ。市街戦だろうか?
「敵は正面の崩れたビルの中に固まっている。おそらく15人前後。敵に我々の位置はばれていない。今ドローンを飛ばした。敵の装備を確認しているところだ」海斗がそう言ってモニターを差し出す。
海斗のにやにや笑いはさっきの剣闘の成果によるものだろう。SSコインを大量にゲットしたはずだ。むかついてしょうがない。僕はモニターを覗き込んだ。
画面が右へ左へとブレている。かなり遠景だ。
「もっと寄れないのか?」
「無理だ。消音でもなければ、光学迷彩でもない普通のドローンなんだ、これ」
「え?なんでそんなもの……さっきSSコインいっぱいゲットしたろう?」俺はモニターから目を離し海斗を見上げた。
「うん。まぁな。でも、今回、貯まったSSコインがもう少しで、アレでな」海斗がちょっと照れたように笑う。
最初のコメントを投稿しよう!