第1章

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「ちょっと……見てこのアバダー」いつの間にかにじり寄っていたゆきちゃんが押し殺した声を上げる。ゆきちゃんの小さな人差し指が示すモニターの向こう側に敵の将校の姿が映っていた。その姿が明らかにおかしい。頭に兜をかぶり。全身鎧姿。床几の上にどかっと座っている。まるで日本の戦国時代の大将だ。大物キャラの風格を漂わせている 「なんだこれ。ちょっと調べてみよう」僕はサーバーにアクセスし急いで検索してみる。 《SSコイン200枚必要です。敵将校調べますか?》 【SSコインを使う】 「に、200枚!?敵情報調べるだけで?」僕は素頓狂な声を上げ、ゆきちゃんに鳩尾を嫌という程エルボーされる。 そんなに取られるの?いや、しかし待てよ。それだけ重要な情報ということだ。僕はままよ、と【SSコイン使う】をポチる。 《名前ーシンゲン 戦闘力ー1025 攻撃ーロケット砲 、敵を惑わす戦術謀略が得意 獲得点ーSSコイン77万枚》 マジか!77万枚?スゲー! 「喜べ!敵の将校倒すとSSコイン77万枚だぞ」興奮を抑え精一杯の小声で告げる。一気にSSコイン100万枚到達だ。 「ふーん」と意外にクールな2人の反応にずっこけそうになったが、よく考えたら、さっきの剣闘で僕のSSコインをたんまりゲットしてるんだった……クソー。 僕はとりあえずブンブンとうるさいドローンを下げて、最新式のドローンに切り替えた。SSコイン1万枚払ったが、やむを得ない。先行投資だ。ついでにロケットランチャーもゲットした。こいつはSSコイン2万枚だ。 最新ドローンが次々と情報を送り込んでくる。敵はドローンに気がついていない。僕はこっそりシンゲンの兜に、弾道誘導マーカーを打ち込んだ。これで明後日の方向にロケットランチャーを打ち込んでもシンゲンの兜に命中する。さすが最新装備。実に簡単だ。SSコイン77万枚ゲット!勇んで立ち上がるところをゆきちゃんに止められる。
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